「AIが人間の仕事を代わりにやってくれるようになる」
そう言われ始めてから、一体どのくらいの時が経ったのでしょうか? AI技術の進化によって、今までできなかったような新しい試みが次々と誕生しました。しかし、現状、我々はまだまだ取るに足らりない仕事にがんじがらめ。未だに「創造的ではない仕事」からはなかなか解放されません。あの日見たAIの夢は一体どこへ……。
そう嘆くのもあと十数年で終わりかもしれません。
というのも、2030年代までに第四次産業革命が起こり、機械が自律的に、柔軟に動くようになるといわれているのです。世界経済フォーラムの創設者であるクラウス・シュワブ氏が提唱し、自著でも解説しているこの「第四次産業革命」が起これば、産業や経済に大きな転換が起こることでしょう。
この記事では、これまでの産業革命を振り返りつつ、第四次産業革命とはなんなのか、果たして何が起こりうるか、考えてみたいと思います。
これまでの産業革命
まずは第一次から第三次までの産業革命をそれぞれ思い出してみましょう。
第一次産業革命(1760年代〜1830年代)
最初の産業革命は、イギリスを中心に起こった、機械化の革命です。それまでの科学や産業、社会構造までをも大きく変えた、人類全体の転換点の一つと言ってよいでしょう。
さまざまなイノベーションの中でもまず綿織物の生産過程における新技術が生まれました。
当時のイギリスは、インド・中国(清)との三角貿易を行っており、大量の綿が流通していました。ここで「効率よく綿を加工したい」という需要が発生し、結果として飛杼(とびひ)、水力紡績機、力織機など、綿織物生産の機械化が発達したのでしょう。
また、製鉄業が成長し(ダービー親子のコークス製鉄法)上質な材料が手に入るようになったり蒸気機関が開発されたりもしました。どちらも後の世界に大きなインパクトを与えた出来事です。特に蒸気機関は運搬や生産、加工など、幅広い分野に応用されました。
一方で、産業革命は社会構造にも大きな影響を与えました。家内制手工業から工場制手工業に移行し、大規模な工場が建てられるようになったことが、工場を所有する資本家層と、工場で働く労働者層に人々を分けたのです。
第二次産業革命
続く第二次産業革命は、電気とエネルギーの革命と言えるでしょう。
1865年〜1900年前後、ヨーロッパとアメリカを中心に、電気を使った発明品が次々と生まれました。エジソンが発明した電球を皮切りに、電話機、蓄音機、ラジオなどが作られ、人々がだんだん電気を使うようになっていきます。
また、石油が使われ始めたのもこの頃からです。それまでの主流であった石炭以上にエネルギー効率がいいことから、内燃機関(エンジン)の改良、そして自動車の生産が日本を含む各工業国でスタートしました。
金銭的に余裕が出たり、余暇が生まれたりしたことで、娯楽も発達しました。映画が生まれたのも第二次産業革命の時期ですし、蒸気機関の回転式印刷機によって、知識や情報が広まりやすくなりました。
第三次産業革命
1980年代から現在まで続くデジタルの革命が、第三次産業革命です。
コンピュータの性能がとてつもない勢いで進化し続け、それ以前と比べ物にならないほど簡単に、効率よく情報を取り扱うことができるようになりました。人間がそれまでアナログ的な道具で行っていた知的作業は大幅に高速化されます。また、インターネットという画期的な通信技術が世界中で使われるようになりました。グローバル化が進み、世界から辺境は少しずつ消えていきます。
世界中の企業が競い合うように情報技術を開発し、現在では、誰もがパソコンやスマートフォンを使うまでに至っています。人工知能技術も発達し始め、後に説明する第四次産業革命に繋がるような分野が誕生し始めました。
また、エネルギーの面でも大きな革新が起こりました。原子力発電と、再生可能エネルギーの開発がこれにあたります。
第四次産業革命では何が起きる?
それでは、続く第四次産業革命では何が起きるのでしょうか?
2030年以降に展開されると予想されているこの産業革命の主役は「IoT及びビッグデータ」、そして「AI」だと言われています。
ネットワーク上から大量のデータを集め、それをコンピュータ自身が学習すれば、ある程度の判断が可能になります。さらに、3Dプリントなどの技術を応用すれば、機械が機械を自ら作り出すことも夢ではありません。もはや人間から独立して、機械と機械が自動的にやりとりをするかもしれないのです。
これらの技術の進歩が進めば、これまで大量生産されていた画一的サービスが、個々にカスタマイズされた生産・サービスに置き換えられるでしょう。個々の状態に合わせた柔軟な生産が、効率的にできるようになるはずです。人が物に合わせるのではなく、物が人に合わせるようになるでしょう。
そして、AIやロボットによる、従来人間によって行われていた労働の補助・代替などが可能となるでしょう。知的な創造活動も、ビッグデータとAIの学習によって、徐々に行われていくことでしょう。
第四次産業革命の抱える課題
一方で、第四次産業革命にはいくつかの課題があります。
まず、高いコストがかかること。ビッグデータや高度なAIを扱うには、高性能な設備が必要となります。これまでの産業革命と同様に、まず設備を整える必要がありますが、そのコストは段違いでしょう。
また、個々のデータをどう扱うかも議論が必要です。ビッグデータのプライバシー問題は、現在でも取り沙汰されるテーマです。規則や基準、または認証方法をどう作っていくか、考えていかなくてはなりません。
さらに、発達した情報技術を扱える人材が不足することが予想されています。高度な技術があっても、その使用方法がわからないのでは宝の持ち腐れとなるでしょう。
日本の準備
これらの課題に対して、日本はすでに対策を講じています。中でも人材不足に関しては、学校教育や資格制度において、さまざまな提案をしています。
その中の一つが「第四次産業革命スキル習得講座認定制度」です。IT・データを中心とした分野において、社会人が高度な専門性を身に付けることができる、専門的で実践的な教育訓練講座を認定する、経済産業省による制度です。
AI、IoT、データサイエンス、クラウドや、高度なセキュリティやネットワーク、さらにはITの応用や他分野への活用などの分野で、しっかりと実力を身につけられる講座にお墨付きを与えようというものです。
こちらの認定がある講座を受講する場合は、厚生労働省から別途、専門実践教育訓練給付金が支給され、受講費用の50%(上限年間40万円)を受け取ることができます。さらに、受講を修了した後、1年以内に雇用保険の被保険者として雇用された、または引き続き雇用されている場合には、受講費用の20%(上限年間16万円)が追加で支給されるのです。
Aidemyの一部講座(AIアプリ開発コース、データ分析コース、自然言語処理コース)がこちらの「第四次産業革命スキル習得講座認定制度」で認められておりますので、お得に専門的な実力を身につけたい方はぜひご一考を!
まとめ
果たして第四次産業革命が今後10年、20年で訪れるのか、それは誰にもわかりません。しかし、ビッグデータやAIが発達すること、その重要性が増すことは確実です。かつての産業革命では、新しい技術を扱えるかどうかで大きな差がつきました。いずれ来る第四次産業革命でもそれは同じです。
AidemyでAIの扱い方を学び、革新の先取りをしてみませんか?
いかがでしたでしょうか?最後までご覧くださりありがとうございました。
【参考文献】
・内閣府、日本経済2016-2017
(https://www5.cao.go.jp/keizai3/2016/0117nk/n16_2_1.html)
・総務省、情報通信白書(平成29年版)
(https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/h29.html)
・経済産業省 第四次産業革命スキル習得講座認定制度
(https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/reskillprograms/index.html)
・厚生労働省 教育訓練給付制度
(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/kyouiku.html)