こんにちは、たくやです。
今週はニュースからちょっと離れて、AIがHR(Human Resourse, 人事)にてどのように利用されているのか、また利用されようとしているのかについて、いくつかのサービスをご紹介させていただきたいと思います。
これからHRにAIを導入しようと考えている方、また、AIが具体的にどのようなメリットをもたらすのかに興味がある方が読みやすい構成にいたしました。
これまで人事は上司の好き嫌い、経験や勘、飲みニケーションなどの不透明な条件下で行われていましたが、そういったものを画一的に体系化、数値化することで、従来よりも効率的に業務改善などの業務を達成できることが期待されています。
1.株式会社フォーラムエンジニアリングの「Insight Matching 」
<チャットを利用した個人の仕事適正判定サービス >
Watson のテクノロジーを活用した人材マッチングシステム。
実際にユーザーとのテキストチャット形式を通し、対話履歴書のみでは知ることが難しかった趣味や性格などの人間的な側面も分析し、独自のアルゴリズムを用いて適正を数値化してくれます。
例えば、設計士を募集する企業があったとします。その企業にとって適合性の高いエンジニアを提案する際に、エンジニアとの対話から得た情報をそれぞれ数値で表します。具体的には、数値上では電話営業のスキルが35点だったとしても、設計士を募集する企業の事業領域とのスキルやモチベーションにおける適合性が90点なので、クライアント企業とエンジニアの適合性は 70点。エンジニアと企業の適合性が十分に高いとし、人材コンサルタントに提案するといった仕組みです。
IT領域から自動車関連など、多岐に渡るエンジニアが約5000人登録しているそうです。
2.Textio
<テキストのパフォーマンス分析サービス>
機械学習と自然言語処理を駆使し、候補者の作成したレジュメや求人広告に利用されている文言やレイアウト、オファーメール、応募効果(ニーズにあった人材の獲得ができたか、獲得までに要した時間)などを解析し、候補者の属性によって効果的な、またはネガティブにとらえられる可能性の高い文言や文章を割り出だしてくれます。
2014年にシアトルで設立したスタートアップ企業です。
TwitterやMicrosoft、スターバックスが利用しています。
3.Connectifier
<求職者データベース検索サービス>
2012年に元Google社員のBen McCann氏とJohn Jersin氏が創業したカリフォルニアの企業です。
求職者情報をデータベース化し、人事担当者がキーワードやロケーションなどの条件を入力すると、データベースから潜在的な候補者を含む、適合性の高いターゲットを迅速にピックアップしてくれます。
なんと、4億人を上回る求職者情報をデータベース化しています。
具体的なアルゴリズムは公開していないものの「AIを活用する」とコーポレートサイトに明記されており、AI×HRのスタートアップとしてかねてより注目が集まっていました。
2016年2月、Connectifier は LinkedInに買収されました。
4.AI人事部長
チームメンバーや応募者が用意しているアンケートに答えることによって、その人の強みや特徴を視覚化。チームがどういう状況なのか、または応募者がチームにフィットするかなどを分析してくれます。
できることは
チームメンバの個人単位でのサポート
- プロファイリング分析:メンバーがどういった価値観を持っているか。
- メンタルパワー分析:各人のストレス耐性や感情統制力などの評価。
- 個性活用マニュアル:それぞれが好む対応やNGワードなど。モチベーションを上げるために必要な事項などの提案。
面接のサポート
「こういった人材が欲しい」というのを社内のメンバーから選択すると事前に応募者に行ったアンケートから面接より前にAIが応募者の特性を分析し、その人がチームが求める人材かを分類してくれます。
特筆すべきは”無料”という点。これならすぐにでも使い始めることができます。
<SNSなどから自動で情報を収集し、データベース化、マッチングするサービス>
5.Gild
サンフランシスコにある企業で、エンジニア採用向けのサービスを提供しています。
一般的なSNSだけではなく、エンジニアが利用するGithubやStack Overflowなどのプログラミング技術に関するコミュニティサイトや個人ブログなど、Webサイトをクロールして大量のデータを収集し、データベース化してくれます。(”スクレイピング”という手法を用いていると推測されます。)
エンジニアの実力は履歴書や面接だけでは、適切に評価することは難しいものですが、常に最新化されるビッグデータを独自のアルゴリズムで解析することで、エンジニアのレベルを可視化することができます。
さらにGild Spotlightという求職者として顕在化していないエンジニアが転職をしたくなるタイミングも推測して企業の人事担当者に推薦することができるサービスも提供してくれます。
Facebook、trip advisorなどの企業がGildのサービスを利用しています。
6.Entelo
Enteloはサンフランシスコの企業で、人事担当者がエンジニアとデザイナーをWEB上から検索できるサービスを提供しています。
サービスの仕組みはGlidと似たようなもので、それにデザイナーの採用がプラスされたものです。
応募があった候補者のデータを簡単に管理・分析できるインバウンド向けのEntelo Stackと、自ら検索して候補者を探すアウトバウンド向けのEntelo Searchがあります。
Entelo Stackは、応募があった数多くの候補者のレジュメに対して、あらかじめ設けた基準と照合し、最良の候補者が優先的にリストアップできるサービスを提供しています。
人事担当者が自社にマッチした候補者を優先順に目を通せるため、選考プロセスや選考スピードの効率化につながります。
Entelo Searchは、膨大なデータベースから、ニーズにあった候補者を検索することが可能なサービスです。
候補者の転職検討タイミングの推測、ビジネススキル・人種・軍隊経験までわかる多様な検索軸、優秀な候補者のレコメンドなど多彩な機能があります。
Microsoft、Znefits、Facebookなどの企業がサービスを利用しています。
Entelo
7.Talent Base
日本がリリースしているサービスになります。
お気に入りの人材をプールし一括管理することができます。また、作成した人材プールや行動履歴を解析して、各社に最適な人材を自動で発掘してくれます。
企業別にソーシャルでの影響度をランキングしたり、ゲームをすると勝手に友達を評価する「評価ゲーム」など、面白い独自コンテンツが入っています。
<社員のエンゲージメントを数値化して評価してくれるサービス>
8.IBM Kenexa
「どんな特徴が社員の生産性にどう影響を与えるのか?」という曖昧なテーマに対し “既に学習済みのデータベース” を用いて、導き出された仮説に対して、即時「こうしたらいいのでは?」という提案までくれます。
主に行われることは3つ
- 設問ライブラリから5問程度を選択。オンラインで意識調査を実施。
- 得られた回答を解析。WatsonAnalyticsの持つビックデータを活かし仮説を構築。
- 数値をグラフィカルに明示しつつ、具体的な改善方法や対応策を提案。
世界の優良企業をランキングするフォーチュン・グローバルのTOP10企業の内8社までもが導入する、とても有名なツールとなっています。
9.HRMOS
日本の会社であるビズリーチが提供するサービスです。
できることは3つ。
- 社員の成果、成果に対する上長コメントなどの言語解析。
- 出退勤データや経歴データのディープラーニング。
- 上記をベースとした『その企業が伸びるために採用するべき人材像』の明確な見える化。
IBM Kenexaに比べて、その会社の雰囲気を明確化するというところまで踏み込んでいるのがユニークな点です。
10.Fronteo Kibit
こちらは上記二つとは趣旨が違い、”離職を防ぐ”を目的として作られたサービスです。
Fronteoは日本の会社で、AI業界ではなかなか有名な会社です。
従業員のメールをチェックして、
「離職しそうな可能性がある。」
「正当な評価を受けていないことをストレスに感じている可能性がある。」
「特定のリーダーからパワハラを受けている可能性がある。」
といったことをアラートで通知してくれます。
Watsonよりも安価で実装でき、過去にはわずか5件の教師データのみでユーザーボイスの感情判別を98%超の正答率で処理した実績もあるというAIです。
まとめ
最近のHRの流行はAI×ソーシャルデータという、技能をさらに詳しくみるだけでなくだけでなく、個人の特性や感情まで組み込んだ人事に移ってきているということが読み取れましたね。
参照