この記事では、Pythonの概要や多くの人が学ぶべきメリット、学習前に知っておきたいことなど、初心者にもわかりやすい入門ガイドとしてまとめました。前編・中編・後編の3回に分けてご案内してまいります。「これからPythonを勉強したいけれど、何から始めたらいいかわからない」とお悩みの方はぜひご一読ください。
PythonはGoogleやInstagramなどの有名WEBサービスのほか、AI(人工知能)や画像認識の分野で使われるプログラミング言語です。Pythonエンジニアを必要とする企業は増えており、ビジネスシーンにおいてPythonを習得している人の活躍の幅は広がっています。
実は、Pythonはプログラミング初心者でも学びやすい簡単な言語として人気です。Pythonが人気の理由やできること、現在利用されている分野や実績について紹介します。
目次
Python(パイソン)とは?
Pythonは、AIからWEBアプリケーションまでさまざまな開発シーンで使えるプログラミング言語です。
シンプルで読みやすいコードはプログラミング初心者でも学びやすく、同時に実用性の高さから一躍人気になりました。
特徴① 記述のシンプルさ
Pythonの特徴は、記述のシンプルさと可読性の高さです。少ない行数でシンプルに命令を記述できます。
Pythonは、スクリプト型言語と呼ばれる汎用プログラミング言語です。
インプリンタ方式の言語でプログラムの実行時には1行ずつ命令を読み込みます。
最も有名なプログラムである「Hello World」を例に、Pythonの記述のしやすさをC言語と比較してみましょう。
C言語で「Hello World」を表示するためには、以下のように数行記述する必要がありました。
同じ命令をPythonで行う場合は、以下のように記述します。
Pythonはたった1行で“Hello World”を表示できます。
シンプルなコードなので、プログラミング経験がない方でも、記述を見ただけで命令の内容が理解しやすいです。プログラミング初心者でも、学習がしやすい言語と言えるでしょう。
特徴② 開発のしやすさ
またPythonは開発のしやすさも人気の理由です。WEBフレームワーク(WEBアプリケーションを作るときに必要な機能のパッケージ)も多数登場しています。
例えば、Pythonの定番WEBフレームワーク「Django」を使うと、「ユーザー認証」「管理画面」などの定番機能を呼び出すことができ、少ないコードで記述できます。Pythonはセキュリティも堅牢なので、企業や政府のサービスに導入される例もあります。プログラミング初心者でも扱いやすい言語ですが、実用性に優れているのも特徴です。
Pythonのできること
Pythonは、AIからWEBアプリケーションまで幅広く活躍しています。具体的にどのようなことができるのかを、以下に紹介します。
AI
PythonといえばAIや機械学習、ディープラーニングという言葉が必ずと言っていいほどセットになっています。
これらの分野でPythonが大きなシェアを占めている理由として、TensorfFlowやNumPy、pandasといった数値計算のライブラリがとても充実していることが挙げられます。
大量のデータを整理し、計算処理をさせる一連の流れを行う上で、これらのライブラリが大いに活躍してくれるのです。
豊富なライブラリと、シンプルかつ可読性が高いというPythonの特徴をフルに活かすことで、効率的な開発を実現しています。
Pythonは今後大きく発展する分野として注目を浴びており、AI開発のための言語としての重要性はますます高まっていくでしょう。
WEBアプリケーション開発
PythonにはWEBアプリケーションを作るためのフレームワークが豊富に揃っています。
代表的なフレームワークにDjangoやFlask、FastAPIといったものがあり、特にDjangoはWEBアプリの開発に必要な機能が一通り揃っています。
ユーザー認証や管理画面といったWEBアプリケーションでよく使われる機能を簡単に実装でき、スピーディかつ柔軟なアプリケーションの開発を可能にしています。
安定感も抜群で、SNSから大規模なWEBサイトまで、さまざまなアプリケーションの開発ができます。
日本での認知度はまだ高くありませんが、海外では高い人気を誇っています。
今後はこの分野におけるPythonの人気も上昇していくでしょう。
WEBスクレイピング
WEBスクレイピングとは、 WEBサイト上から必要な情報だけを集める技術のことを言います。
通常、WEBでの情報収集といえば、ブラウザから各サイトに飛び、自分の目で確かめて必要な情報を集めます。
ECサイト等でこまめに商品の入荷を確認したり、検索順位を定期的に確認するのは、手間と時間がかかります。
スクレイピングを使うことで、手動で調査を行うのにかかる時間を大幅に短縮でき、効率よく業務を進められます。
データ処理やデータ分析
昨今、さまざまなデータが蓄積、活用されています。
ECサイトにおけるユーザーの買い物傾向を探ったり、商品ごとの売れ行きや購買層を把握することで、データをもとに次の施策を打てます。
データ分析に適したライブラリが豊富に揃っているため、データ処理や可視化を効率よく行うことができます。
ルーティン作業の自動化
ファイル管理など、時間がかかる必要な作業は多いですよね。これらの面倒な作業も、Pythonを使えば自動化できるケースがあります。
Pythonではさまざまなアプリケーションを動かすプログラムを作れます。アプリケーション同士のやり取りを行うことで、一連の業務を自動化できる可能性もあります。
Pythonが利用されている分野と実績
さまざまなことができるPythonですが、どのような形で利用されているのでしょうか。実際の使用例を見てみましょう。
AI分野での事例
AIや人工知能といえばPythonです。
自動で判断、行動に移すAIを構築することがさまざまな技術に用いられています。
・Pepper
代表的な事例として、ソフトバンクロボティクスが開発したPepperがあります。
Pepperがもつ豊かな感情表現はPythonによって作られているそうです。
・自動運転技術
自動運転技術では、画像処理を得意とするAIの特性を活かし、ディープラーニングを用いて次々に変わる風景や歩行者などを正確に認識するべく開発が続けられています。
・製造業
機械学習を用いて、製造ラインにおける不良品や異物の混入を判別できます。さらに、各機器に取り付けられたセンサ等を用いて常に状態を把握し、故障の予兆を検知することにも活用されています。
・小売業
機械学習を活用した需要予測を利用し、過去の実績に基づいた需要予測と比較して、より正確な見通しを立てられるようになりました。
また、個別の購入履歴や閲覧状況から商品を提案したり、新たな購買につなげたりするサービスが提供されています。
WEBアプリケーションでの事例
Pythonを使って作られたWEBアプリケーションには様々なものがあります。
有名なサービスを挙げると、YouTubeやInstagram、DropboxがPythonを中心に使って作られています。
このような大規模なアプリケーションに対しても、Pythonは安定した動作を提供しています。
WEBアプリケーション開発における強力なツールであるDjangoやFlaskは、さまざまな機能の実装や変更に対して柔軟に対応してくれます。
常にユーザーの満足度を高めるための開発に、大いに活躍しています。
マーケティング分野での活用
マーケティング分野において、Pythonはとても強力なツールとして活躍しています。スクレイピングを用いて競合他社を監視したり、市場調査を行うためのデータ収集を行ったりできます。
収集したデータを用いて、Excelでグラフを自動生成したり、その他のルーチン作業も自動化したりできます。
その後のデータ分析や可視化にもPythonは活用できます。統計分析はもちろんのこと、自然言語処理や画像解析といったこともできるため、マーケティングでPythonを使えることは大きな武器になるのです。
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