2020年11月30日、「転職エージェント&データサイエンティストが語るAI転職市場」と題し、AI未経験エンジニアのキャリア戦略を、転職エージェントと現役データサイエンティストが語るセミナーが開催されました。
株式会社キャライフから代表取締役の金子勲氏と人材紹介事業部の吉野佑衣氏、そしてITベンチャー所属のデータサイエンティスト足立悠氏をお招きし、3氏の講演と質疑応答が行われました。進行を務めたのは、株式会社アイデミーのカスタマーサクセスリーダー、齋藤圭です。
vol.1では、金子氏の講演をお届けします。
金子勲氏
株式会社キャライフ 代表取締役
1982年7月5日生まれ。大学卒業後は外車ディーラーへ入社。当時新規事業だった高級車限定セカンドカーシェアリングシステムの企画営業職として従事。その後、toC向けWebサービス企業にて企画部・広告部・CS部・人事などを経て部長職を経験。2012年の転職を機に人材業界へ。世界トップクラスの外資系人材会社や創業期の人材会社にて、トップセールスやトップチームを組成した功績から事業部長職に昇格。現在は4.5億円の資金調達済みのスタートアップにて人事職を兼任しながら株式会社キャライフを創業。転職コンサルタント・人事・経営・登壇など多角的に業務の幅を広げている。
目次
転職して「何をしたいのか」イメージすること
金子:私からはエージェント目線で、求人市場やキャリアについて、また、やりたいことを実現するためには何に注意すればいいか、お話しできればと思っています。
AIエンジニアに限らず最も重要なのは、長い目で考えることです。転職をする時には「今、何をしたいのか」を考える傾向がありますが、あくまでも職種は手段であってゴールではありません。その仕事で実際に何をしたいのか、実現したいことは何か、技術者であれば何を作りたいのか、そういったことをしっかりとイメージすることが重要です。今回の参加者のみなさんは、AIエンジニアに興味がある方が多いと思いますので、まずはAIエンジニアになった時に実際何を作りたいのか、この機会にぜひ考えてみてください。
キャリアはゴールから逆算して設計する
金子:実際にキャリアを道筋立てて行く方法としては、AIエンジニアとしてのゴールを決めたら、あとは逆算して設計していきます。エージェントの私たちが転職相談を受ける時には、やりたいことを実現するには何が必要なのか、棚卸しするところからお手伝いすることが多いです。そこから逆算して、ゴールを目指すにはどういった経験を積んでいくべきなのか、洗い出していくことになります。
未経験での転職には覚悟が必要
金子:未経験の仕事に飛び込む場合、かなりの覚悟が必要だと私たちは思っています。その覚悟を決める時に「なんとなくなりたいから」では、大変な時に乗り越えられません。そうならないためにも、なぜそれをやりたいのか、自分の原体験をしっかりと洗い出そうとお話ししています。
AIエンジニアとして何がしたいのか考える時に、具体的に何ができるのか、実際に何を作る仕事なのか、あまりイメージが湧いていない方もいらっしゃると思います。こちらについて、アイデミーの講座などを事例に齋藤さんから教えていただけないでしょうか。
AIエンジニアの仕事をイメージする
齋藤:それでは、弊社で今人気が集中している2つの講座についてご紹介します。
ひとつ目は「AIアプリ開発講座」で、Pythonの中でも主に画像認識を専門にしています。具体的な学習成果としては、例えば犬猫の識別から犬種の識別まで、実務では工場のラインにおける製品の合否の判定の場面で活かされるようなイメージです。
ふたつ目は「データ分析講座」です。こちらは「回帰」、いわゆる予測ができます。例えば、FXのドル円相場、日本全国の気温、需要電力などの予測が可能です。実務では、ビジネスや危機管理における重要な意思決定をする場面で、予測に基づいた判断をするといった形でデータを役立てられます。
金子:ありがとうございました。大きくは、AIアプリの開発なのか、データ分析でビッグデータを扱うのか、というところですね。他にもいろいろと事例があると思いますので、このように具体的にイメージできるといいのではないでしょうか。
AI市場の可能性、将来性
齋藤:本日は、AIに関する仕事に就くことを検討中の方々にご参加いただいていますので、その可能性、将来性について、引き続き金子社長よりお話いただければと思います。
金子:現在のAIエンジニアの求人をIndeedで検索してみたところ、18,000件以上、そのうちの8,000件が東京都内の求人です。年収500万以上に絞ると3500件になりました。
少し前はWebエンジニアが全然足りず、例えばPHPができればどこでも入社できるような時期がありましたが、市場が出来上がってきた現在では年収600~800万円、フリーランスで1000万円以上という人も少なくありません。現在、IndeedでWebエンジニアの求人は、東京都内だけで3万3000件以上出てきています。年収500万円以上でも13,000件以上あるので、おそらくAI市場もいずれこのような形になっていくだろうと考えています。
市場のニーズから転職時期を考える
金子:市場が未熟な時に転職してスタートすると、最初は評価されにくいので年収は低い傾向がよくあるのですが、市場が成熟した時に稼ぎやすい環境になるのはほぼ間違いないと思っています。
「それなら成熟してから転職すればいいのでは?」と思われるかもしれませんが、ある程度ニーズに対しての供給がある=人材がいる状態になると、いきなり年収を高くしたいと思っても難しくなってしまうのです。大きく「生涯年収」から考えてみると、今チャレンジするべきなのか、まだチャレンジすべきでないのか、少しずつイメージがつくのではないでしょうか。
ただし、未経験で転職しようと思うと求人は少なくなります。どういうタイミングでAIエンジニアとしての経験を積み、どうキャリアを築いていけばよいのか。実際に弊社が保有しているAIエンジニアの求人について、いくつかの事例を吉野からご説明いたします。ぜひ参考にしていただければと思います。
(vol.2に続く)