AIは、現代社会やビジネスに欠かせない技術となりました。対話型AI「ChatGPT」や画像生成AIなど、生成系AIの登場により、さまざまな分野で革新的なアイデアやコンテンツが生み出されています。
その中で、AI学習を始めるには、どんな知識やスキルが必要なのでしょうか?
また、どのような手順で効率的に学ぶことができるのでしょうか?
この記事では、オンラインAI人材育成サービス受講者数No1(※)のAidemyが、AI学習の基礎から応用までをわかりやすく解説します。
プログラミング初心者で、これから習得したいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
(※)調査元:ESP総研
調査対象:JDLA E資格認定講座所持企業 18社の提供する無料個人受講者数(累計)
調査期間:2021年6月3日~2021年7月26日
AIでできること
まずはAIについて認識を合わせましょう!
AI(人工知能)は、コンピュータに人間のような思考や学習能力を与えるためのテクノロジーです。画像認識から自然言語処理、予測まで、様々な複雑なタスクを自動化し、精度を向上させることができます。
AIは、その応用範囲が広く、どの業界にも進出しています。それぞれがどのように働くかについて、そしてそれらが私たちの日常生活にどのように影響を与えるかについて、説明します。
画像認識
AIは、自動運転車の道路標識認識から、医療画像診断まで、画像内の特定の物体やパターンを認識することができます。これにより、既存のプロセスが自動化され、より精度が高くなります。
自然言語処理
AIは人間の言語を解釈し、それに応答することができます。これはチャットボット、自動翻訳ツール、音声認識システムなど、コミュニケーションの自動化と効率化に広く応用されています。
予測モデリング
AIは大量のデータからパターンを見つけ、未来の結果を予測することができます。これは株価予測、気候変動の予測、製品需要の予測など、意思決定と戦略設計における重要なツールとなっています。
これらの例は、AIがどのように業界を横断して影響を与え、私たちの生活を改善しているかを示しています。しかし、また、事象はまだ始まったばかりで、その可能性はほぼ無限大です!
学習するプログラミング言語はPython
AIの世界で活躍するためには、適切なプログラミング言語の理解が不可欠です。
その中でもPythonは、その親しみやすさ、強力なライブラリ、そして広範で活発なコミュニティサポートにより、特に使用されています。他の言語ではRが、統計解析やデータビジュアライゼーションにおいて強力なツールとされています。
それぞれの特徴について詳しく見てみましょう。
親しみやすい文法
Pythonは、そのクリーンで直感的な文法が特徴です。これにより、初学者でも容易に理解し、プログラミングを学ぶことができます。そして、その時間とエネルギーを、AIや機械学習の重要な概念の理解に集中させることができます。
例えば “Hello, AI!” と出力する処理をJavaとPythonで記述した場合を比較するとPythonの方がシンプルなことが分かります。
Javaの場合
public class AIDemo {
public static void main(String[] args) {
String message = "Hello, AI!";
System.out.println(message);
}
}
Pythonの場合
message = "Hello, AI!"
print(message)
大規模なライブラリ群
Pythonは、NumPy、Pandasといったデータ分析ライブラリや、scikit-learn、TensorFlow、Kerasといった機械学習やディープラーニング(深層学習)のライブラリが充実しています。
これらのライブラリは、データの操作、分析、ビジュアライゼーション、モデルの訓練と評価など、AI開発のプロセスを劇的に簡略化できます。
強力なコミュニティサポート
Pythonは、全世界から幅広い支持を受ける活発なコミュニティを持っています。このコミュニティは、質問の回答から新たな手法の開発、そしてベストプラクティスの共有まで、あらゆる形でサポートを提供しています。
特に日本のPythonコミュニティは非常に活発で、多くのユーザーが日々、質問を投稿し回答を得たり、新しいアイデアを共有したりしています。これにより、Pythonを学ぶ際の障壁が大幅に低下し、問題を解決しやすくなっています。
Python入門: AI学習のための基本スキルの習得
AIや機械学習を学び、理解するためには、適切なプログラミングスキルが必要となります。
Pythonはそのシンプルさと強力なライブラリ群により、この目的を達成するのに最適な言語とされています。Pythonを学ぶ際のステップをみてみましょう。
Pythonの基本的な文法の理解
Pythonの文法は他のプログラミング言語と比較してシンプルで直感的です。
変数の宣言、データ型、制御構造(if文、for文、while文など)など、基本的な文法の理解をスタートとします。
学習ステップと内容は以下のとおりです。
Pythonの基本 | 学習内容 |
---|---|
変数とデータ型 | 型の理解、基本的な数値、文字列操作 |
演算子と式 | 算術、比較、論理演算子の使用 |
制御構造 | 条件分岐(if文)、繰り返し処理(for文、while文) |
関数の定義と呼び出し | 引数、戻り値、スコープの理解 |
リストとタプル | データの保存と操作 |
辞書とセット | キーと値の組み合わせによるデータ管理 |
モジュールとパッケージ | コードの再利用と組織化 |
例外処理 | エラーハンドリングの基本 |
ファイル操作 | テキスト、バイナリファイルの読み書き |
クラスとオブジェクト指向プログラミング | データと振る舞いをまとめる |
Pythonのライブラリの使用
Pythonの強力なライブラリ群を活用することで、AIや機械学習の開発が格段に容易になります。
具体的には、データ処理と可視化に使用するNumPy、Pandas、matplotlibなどのライブラリの基本的な使用方法を学びます。
学習ステップと内容は以下のとおりです。
ライブラリ | 学習内容 |
---|---|
NumPy | 配列操作と基本的な数学的演算 |
NumPy | スライシング、インデックス、ブロードキャストの利用 |
NumPy | 行列操作、乱数生成、ファイル入出力 |
Pandas | データ構造の基礎 (Series, DataFrame) |
Pandas | データの読み込みと書き出し |
Pandas | データの選択、フィルタリング、ソート |
Pandas | データの集計とグルーピング |
Matplotlib | 基本的なグラフ作成 – 折れ線グラフ、散布図 |
Matplotlib | データの分布を示すグラフ – 棒グラフ、ヒストグラム |
Matplotlib | データの相関関係を示すグラフ – ヒートマップ、箱ひげ図 |
これらのスキルを身につけることで、Pythonを使用したAIや機械学習の開発が可能となります。
PythonはAI開発の強力なツールであり、その基本的なスキルを学ぶことは、AIや機械学習の学習への重要なステップです。
最低限の数学と統計の理解
AIや機械学習の学習には、数学と統計学の基礎知識が不可欠です。以下に、これらの科目の学習における主要なステップを挙げてみましょう。
線形代数の基礎
ベクトルと行列の操作、行列の乗法と逆行列、固有値と固有ベクトルの理解。
微分積分の基礎
関数の微分と積分、微分係数と微分方程式、高階微分と定積分の理解。
確率論の基礎
基本的な確率概念、離散的および連続的な確率分布の理解、統計的推測とサンプリング理論の知識。
統計学の基礎
標本と母集団の関係、統計量、推定と信頼区間、仮説検定、回帰分析と分散分析の知識。
これらの学習は、オンライン教材や書籍を活用することで進めることができます。数学と統計学の基礎を理解することで、AIや機械学習のアルゴリズムやモデルの仕組みを理解し、より効果的な解析や適用が可能になります。
機械学習とディープラーニングの学習
AI、機械学習、ディープラーニングの分野を正確に理解するためには、それぞれの分類と位置付けを理解することが重要です。
不慣れではじめは大変ですが下記のように整理しましょう。
AIは最も広範な概念で、その一部として機械学習が位置づけられます。
機械学習はアルゴリズムがデータから学習し、それに基づいて予測や意思決定を行う領域で、線形回帰、ロジスティック回帰、決定木、ランダムフォレスト、サポートベクターマシン、k-近傍法(k-NN)、クラスタリング、次元削減などの基本的な手法を包含しています。
それぞれのアルゴリズムを使う場面や、その仕組みを理解できるよう繰り返し学習してください。
一方、ディープラーニングは機械学習の一部であり、複雑なニューラルネットワークを用いて高度な学習を行います。
これらの理解はAI学習に必要なステップとなります。特に、Pythonのライブラリを活用して各手法を実装することで、これらの知識を深めることができます。
簡単にですが機械学習とディープラーニングでよく使うライブラリを表にしました。専門的に感じていた言葉も徐々に整理できてきたと思います。
分野 | ライブラリ | 説明 |
---|---|---|
機械学習 | Scikit-learn | 基本的な手法やアルゴリズムを実装するためのライブラリ |
ディープラーニング | TensorFlow | 深層学習モデルを構築するためのフレームワーク |
ディープラーニング | Keras | 高水準APIを提供し、モデルの作成を容易にするライブラリ |
ディープラーニング | PyTorch | 深層学習モデルの構築や学習を行うためのフレームワーク |
これらのライブラリを活用することで、理論を実践につなげ、より深い理解を得ることができます。
また、それぞれのライブラリには、様々な機能と利点があり、それぞれの特定の課題に対して適したツールを選択することができます。
このステップでは、これらのライブラリを用いて、機械学習とディープラーニングのアルゴリズムを実装し、自分自身で学習・実験・改良を行ってみましょう。
深掘りしたい学習内容の設定
AI学習は興味と目標に基づいて進めることが重要です。
例えば、自然言語処理に興味があるなら、TransformerやBERTのようなモデルを学び、画像処理を専攻したいならCNNやGANの学習を考えましょう。
一例ですが興味のある分野に対応したモデルとライブラリをまとめたので参考にしてください。
興味のある分野 | 学習すべきモデル | 使用ライブラリ |
---|---|---|
自然言語処理(NLP) | Transformer, BERT, GPT | NLTK, Spacy, Transformers (Hugging Face) |
画像処理 | CNN, GAN | TensorFlow, Keras, PyTorch |
音声認識 | LSTM, Transformer | TensorFlow, Keras, PyTorch, Librosa |
時系列分析 | ARIMA, LSTM | Statsmodels, TensorFlow, Keras, PyTorch |
強化学習 | Q-learning, Deep Q Network | TensorFlow, Keras, PyTorch, OpenAI Gym |
レコメンデーションシステム | Collaborative Filtering, Content-Based Filtering | Scikit-learn, Surprise, LightFM |
アノマリー検出 | One-Class SVM, Isolation Forest | Scikit-learn, PyOD |
初めてAIを試す人は、GoogleのTeachable MachineやMicrosoftのCustom Visionのようなノンコーディングツールを試すとよいでしょう。
また、Scikit-learnやTensorFlowのようなPythonのライブラリを使えば、既存の機械学習アルゴリズムを活用し、自身のデータセットでモデル訓練と予測を行うことができます。
これらを活用することで、AIと機械学習の原理を理解し、具体的な問題解決の経験を得られます。
補足.Pythonを学習する環境構築
Pythonを学ぶために、適切な開発環境を設定することが必要です。以下に具体的な流れを示しますのでとりあえず準備したい方はまずはやってみましょう。
Pythonのインストール
公式ウェブサイトからPythonの最新バージョンをダウンロードします。
ダウンロードページで自分のオペレーティングシステム(Windows、macOS、Linux)を選び、対応するインストーラーをダウンロードします。インストーラーを実行してPythonをインストールします。インストール時には、「Add Python to PATH」または「PATHにPythonを追加する」のオプションを選択します。これにより、Pythonがシステムのコマンドラインやターミナルからアクセス可能になります。
Jupyter Notebookのインストール
Jupyter NotebookはPythonのパッケージ管理ツールであるpipを使ってインストールします。ターミナルまたはコマンドプロンプトを開き、次のコマンドを実行します。
pip install notebook
インストールが完了したら、ターミナルまたはコマンドプロンプトでjupyter notebookを実行してJupyter Notebookを起動します。ブラウザが自動的に開き、Jupyter Notebookのインターフェースが表示されます。
必要なライブラリのインストール
Pythonの学習に必要なライブラリをインストールします。例えば、NumPy、Pandas、Matplotlibなどがあります。これらはpipを使ってインストールします。例えば、NumPyをインストールするには次のコマンドを実行します。
pip install numpy
以上のステップで基本的なPython学習環境が整います。
これらの手順は基本的なものであり、具体的な設定やトラブルシューティングはインストールガイドやオンラインコミュニティによるサポートを参照してください!
補足.まずはAIをサクッと作ってみたい方に
まずは手軽にAIを作ってみたいという方には、実際に手を動かして学べるハンズオン形式の教材がおすすめです。
特に、AidemyのYouTubeチャンネルには、環境構築が不要なクラウドでPythonを使って1時間で機械学習モデルを作るハンズオン動画があります。この動画を活用して、ぜひ一歩を踏み出してみてください。
この動画では、Azureという機械学習サービスとPythonを用いて、実際に機械学習モデルを作成し、訓練し、テストする一連のプロセスを追体験することができます。
コーディング経験が少ない方でも、動画の解説に従って進めれば、AIと機械学習の基本的なフローを体験することが可能です。
動画の内容を自身で試しながら学ぶことで、これまで学んだ理論的な知識が具体的な形でどのように活用されるのか、自身の手で確認することができます。
初めてAIを作る際のハードルを下げ、次のステップへ進む助けとなるでしょう!
さいごに
Pythonを利用したAI学習は、一見難しそうに見えますが、適切な学習リソースとサポートがあれば、誰でも始めることができます。
この記事で紹介した各ステップを追って学習を進め、自分の興味や目標に合わせたスキルを習得しましょう。そして、AIの力を利用して、私たちの生活やビジネスをより良いものにする新たなアイデアやソリューションを生み出してください。
Aidemy Premiumは、株式会社アイデミー運営のAI・人工知能開発や機械学習で利用の多いプログラミング言語「Python」に特化したオンラインプログラミングスクールです。
プログラミング初心者の方でも、3ヶ月間の受講で市場価値の高いAI人材として活躍できるようになることを目標としており、様々な充実したサポートが整えられています。
独学が難しくスクールで学習を考えている方はぜひご参考になさってください。